5月に実施されたタイ下院選挙で第1党に躍進した革新派野党「前進党」党首で、きょう行われるタイ首相選候補のピタ氏を巡り、選挙違反の疑いが浮上している。ピタ氏はタイの民間放送局iTVの株式4万2000株を所有している疑いがあり、下院選候補者がメディア企業の株保有を禁止した憲法の規定に違反している可能性があるという。選挙管理委員会は12日、同氏の議員資格を剥奪するかどうかの判断について、憲法裁判所に委ねることを決定した。
バンコク・ポストなどタイ現地メディアの報道によると、世論調査機関は、判決が出るまで同氏を停職するよう憲法裁判所に要請した。毎週水曜日に開かれる憲法裁判所は、前日の会議で議題に上った内容のみを審議するため、判断が首相選に間に合うのか注目されている。憲法裁判所が選挙違反を認定すれば、ピタ氏は議員資格を失うことになる。
報道によると、ピタ氏は「iTVは長年に渡り閉鎖されており、私は(父親の遺産の)執行者として株式を保有していただけ。私の首相候補としての資格とは関係ない」と述べた。また、首相選前夜になぜ選挙管理委員会が憲法裁判所に判断を委ねる決定をしたのかと疑問を呈した。同氏はきょう午後5時(日本時間午後7時)に予定されている首相選に先立ち、議員の前で自身の展望を提示するつもりだという。
タイ工業連盟(FTI)のイサレス副会長は、ピタ氏の首相就任を阻止する運動があり、国にとっての挫折だと述べた。一方、軍指導者ら仕事のため、首相投票には参加しない予定だという。