タイ南部の洪水被害への対応は、アヌティン・チャーンウィラクン首相の緊急事態管理能力の試金石となっている。アヌティン首相は記者の取材に対し、「対応に遅れは無い」と強調した。
MRGオンラインなどの報道によると、アヌティン首相は、「支援に遅れも混乱も無い。全員が全力で働いている」と述べた。政府は25日、洪水対策の迅速化のため、ソンクラー県に非常事態を宣言。タイ軍最高司令官のウクリット将軍に現場責任者を任命した。
自然災害水管理センター所長のタマナット副首相兼農業組合大臣も現場で指揮を執っており、権限が二重になるとの指摘に対しては、タマナット副首相が政府の代理として行動し、指示を出すと説明。ウクリット司令官が全体の状況を把握し、各機関に責任を割り当てる役割を果たすと話し、新型コロナウイルス感染症の発生時と同様に、非常事態宣言によって事態を管理するとした。
一方、深刻な被害が発生しているソンクラー県では、アヌティン首政権の危機対応の遅れに懸念が高まっている。特に、アヌティン首相が22日にハートヤイ郡を視察して国民に料理を提供したことに、「イメージ重視」と批判が集まった。
ソンクラー在住の人権団体アムネスティ・インターナショナル・タイランド職員は、「アヌティン首相は写真撮影に貴重な時間を浪費し、迅速な避難指示を怠った」と批判。地方自治体は、災害管理能力を大幅に上回る状況に直面し、独力で対処することは困難だと指摘した。