タイのペートンターン・シナワット首相とカンボジア元首相のフン・セン上院議長の9分間の会話音声が18日朝、ソーシャルメディアに投稿された。ペートンターン首相は、漏洩した会話が本物だと認めた。会話の中でペートンターン首相が、カンボジアとの係争地を含む東北部を管轄するタイ軍第2管区司令官を「敵」と呼び、フン・セン氏の要請に応じると発言していた。
カオソッドなどの報道によると、漏洩した音声は、ペートンターン首相とフン・セン氏が15日に実施した電話会談の一部。フン・セン氏と家族ぐるみの交流があるペートンターン首相は、同氏を丁寧に「おじさん」と呼び、「タイ軍司令官の発言を聞いて苛立たないでほしい。私たちの意図では無い」と語った。
音声の漏洩についてフン・セン氏は関与を否定したが、会談後、自国の政府関係者に音声を共有したと述べた。
18日午後2時、ペートンターン首相は首相官邸で会見し、フン・セン氏とは今後、個人的な会談を実施しないと述べた。タイ軍司令官への批判とも取れるペートンターン首相の発言は、「非公式な会話の中での非公式なアプローチ」であり、フン・セン氏を落ち着かせようとしたと話した。
ペートンターン首相は、「会話は公開されるべきでは無かった。フン・セン氏らはタイの政府と軍の分断を図る目的かもしれないが、現時点で関係は良好だ。政府は軍と協議しながら政策を実行している」と語った。
ペートンターン首相は電話会談の中で、タイとカンボジアの両政府が、国境の再開を共同で発表すべきと要請。フン・セン氏が国境の開放時間を通常に戻すよう要求したため、ペートンターン首相は「分かりました。私も同じ考えです」と答えながら、国防省と検討すると伝えたという。
その後、フン・セン氏はFacebookで、検問所の閉鎖を警告。ペートンターン首相は、会談の内容と大きく異なるフン・セン氏の行動に衝撃を受けたという。「フン・セン氏は自国での人気を望んでおり、隣国関係への影響に全く注意を払っていないことは明らかだ」と非難した。