タイのドンムアン空港で6月29日、エスカレーターの「歩く歩道」で女性が巻き込まれ、左足を切断する重症を負った事故で、タイ王立工学会(EIT)の関係者は、スーツケースの車輪が原因の可能性があると発表した。バンコク・ポストなどタイ各メディアが報じた。
報道によるとEITは、エスカレーターの降り口にあるくし部分に車輪が引っかかって隙間をつくり、女性の足が入ってしまうほど大きくこじ開けたと推測しているという。事故後、エスカレーターの板盤を固定しているボルトが3本、外れているのが見つかった。
またタイラットの報道によると、被害女性は歩道の降り口あたりでスーツケーツと共に転倒したが、エスカレーターはすぐに停止しなかったという目撃証言があった。空港関係者が電源を切って停止させたという。
同空港は、エスカレーター全20台を一時使用禁止にした。同空港所長によると、エスカレーターは衝撃で即時停止する新型センサーが付いておらず、2025年度予算で交換予定だったが、2024年に前倒しする必要があると述べた。
空港や関係者の声明によると、事故があったエスカレーターは日本の日立製。専門家によるメンテナンスを定期的に行い、直近では6月21日に実施したが、異常はなかったという。起動する際にも毎日、動作確認をしており、事故当日も使用前に点検作業をしたと話した。
事件後、日立製作所の関係者も調査に入った。エスカレーターは約27年間使用。45年間の使用保証があったという。