プゥア・タイ党のプロームポン報道官は24日、陸軍本部にM79が撃ち込まれた件に絡んでカッティヤ・サワディポン少将の自宅や関係先の家宅捜索が行われた事に関して、政府側はまさに国際人権監視団体が指摘した二重基準を具現化させようとしていると指摘した。
この発言に先だって、Human Right Watchが先週公表したタイ国内に於ける人権保護の後退状況を厳しく糾弾するレポートの中で、以下の事例をあげた上で、アピシット首相は、人権を擁護しているとする自らの発言通りの行動をとっていないと指摘していた。
・政府側は反独裁民主主義同盟の圧力に押され軍側への依存を強め、ソンクラーン期間中にバンコク及びパッタヤーで同盟のデモ隊に向けた催涙弾や実弾の使用を容認した。
・同盟に対して早急な法的措置を講じる一方で、アピシット政権の誕生を後押しする事に繋がった首相官邸や二空港を占拠した民主主義市民連合に対する措置が及び腰になっているなど、政府の二重基準に基づいた法執行により政治情勢が激化した。
・2004年から情勢が激化している南部国境三県域において、対策にあたる当局に対して事実上の刑事免責を与え、人権侵害で当局側が追求される事が無い状況が続いている。また、十分な文民統制が効かず、戒厳令・非常事態宣言下に於ける越権行為に対する牽制が働いておらず、分離主義組織の統括機関であるBRNコーディネートに組織員獲得や行動を正当化する機会を与えている。
・現政権はタクシン政権時代に行われた強硬的な麻薬取締を非難していたにも関わらず、2003年に麻薬撲滅戦争の名の元に行われた大量殺戮に関与した当局者に対する法的責任の追及に及び腰になっている。
・2008年10月の国会ビル前に於ける連合のデモ隊に対する強制排除に関与した警察幹部7人に対する法的責任の追究を進める一方で、警察によるミャンマー、カンボジア、ラオスからの労働者に対する組織的な人権侵害を容認している。
レポートを作成したHuman Right Watchアジア支部責任者のBrad Adams氏は、2007年8月にマンチェスター・シティーFCの買収に動いたタクシン元首相を最悪な部類に属する人権侵害者と指摘し、買収に反対する声明を発表した人物としても知られている。
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