タイ最高裁判所は9日、タクシン・シナワット元首相(76歳)が2023年8月に帰国後、汚職罪などで懲役1年の刑を受けたにも関わらず、警察病院ビル14階の特別室で刑期を終えた「14階事件」について、タクシン氏を警察病院に移送したことは違法だと判断し、タクシン氏に懲役1年の判決を下した。
プラチャーチャート・トゥラキットなどの報道によると、最高裁は、同氏の病状に緊急性は無く、特別室に入院した時間は刑期に含まれないと判断。矯正局が当初の刑である懲役1年を執行していないとして、最高裁は5対0で懲役1年の刑を言い渡した。
タクシン氏は9日午後5時頃、水色の囚人服を着て矯正局の車両に乗り、バンコク留置所からクロンプレムセントラル刑務所へ向かった。記者が「国民に伝えたいメッセージはあるか」と叫ぶと、タクシン氏は親指を立てるポーズをしたという。
タクシン氏は9日のソーシャルメディアへの投稿で、「判決を受け入れる」とし、国王の厚意で刑期が1年に減刑されたことに感謝の意を示した。娘のペートンターン・シナワット前首相は、最高裁前で会見し、「父が国益に貢献したことを誇りに思う。刑務所に送られるタイの首相は初めてだ」と話した。
タクシン氏は2023年8月22日、15年以上の海外亡命から帰国。首相在任中の職権乱用など3件の事件で懲役8年の判決を受けたが、国王の恩赦で1年に減刑された。タクシン氏はバンコク留置所に移送されたが、わずか13時間後に胸の痛みなどを訴えて警察病院へ移動。2024年初頭に仮釈放されるまで、特別室で入院していた。